光を感じることのできない僕は、
目が覚めていつも同じことを思う。
「朝かな?夜かな?」
それから枕元の棚の上に置いてある時計を手探りで探す。
マッチ箱くらいの大きさでキーホルダーがついている。
触覚で確認しやすい形状だから、
寝ぼけていても探しやすい。
それをキャッチしたら、ボタンを押すと音声で現在時刻を教えてくれる。
朝を確認できるのだ。
この便利な道具が千円程度で買えるのだから、
物質的には豊かな社会なのだろう。
有難いことだと思う。
こんな道具がない頃、盲人はどうやって朝を探したのか不思議だ。
最近はトイレで起きるようになった。
二度寝することも珍しくなくなった。
若い頃は12時間以上でもひたすら眠れたことを思い出すと、
ただただ悔しい。
長時間寝て目覚めた時の光のまぶしさ、あの瞬間、
あれは幸せのひとつだ。
とっても穏やかで優しかった。
若くなくなって失ったものなのか、
見えなくなって失ったものなのか、
まあどちらにしても、
無い物ねだりの世界だな。
失明、的を得た単語だと妙に納得した朝です。
それでも、朝だよって、小鳥たちが笑っています。
(2014年9月29日)