朝のラッシュアワーの時間帯、
点字ブロックの上を歩いていた僕の白杖が、
通行人の足にからまった。
「すみません。大丈夫ですか?」
こういう時には、まずこちらから謝罪をすることにしている。
何も返事はなかった。
大事にはなっていない雰囲気を確認して、
僕は気を取り直して、目的地へ急いだ。
午前中は、京都府警の関係機関に足を運んだ。
横断歩道のこっちからあっちまでまっすぐに歩けるように、
エスコートゾーンの設置をお願いするためだ。
京都市の担当の方も同行してくださった。
誰にとっても暮らしやすい街になるように、
専門家のアドバイスはとても有難い。
午後は、引っ越し間近のさわさわで過ごし、
夕方には新しいさわさわの現地調査に参加した。
用事をすませて、烏丸丸太町まで友人に車で送ってもらい、
地下鉄の駅へ向かおうとして少し迷子になった。
誘導鈴に向かったのだが、
微妙に違ったらしい。
エスカレーターはここですよと紳士の声、
僕はここぞとばかりに肘を借りて、
地下鉄丸太町駅までスイスイ、
同じ方向だったので、電車にも一緒にスイスイ、
紳士は僕の予定駅よりひとつ手前で降りていかれた。
人間っていいよなぁっと幸せな気分で四条駅に着いた。
電車を降りようとしたら、
人の壁で動けない。
慌てても危ないし、あきらめかけた時に、
僕の目になるような「開けてください」の女性の声。
一緒に降りた彼女に、僕はまた図々しく肘を借りる。
そして、改札口までスイスイ。
改札口でお礼を言って、そこからまた一人で歩きながら、
やっぱり人間っていいよなぁって、つくづく思いました。
朝の出来事で少しへこんだ気持ち、
やさしい人達のおかげで、
すっかり幸せ気分になりました。
見えなくても参加できる人間の社会、
本当に素敵です。
(2014年6月29日)