大分旅行記 その3

大分市での日盲連全国大会終了後、
せっかくここまで来たのだからと、
京都の仲間と湯布院温泉で一泊した。
僕達のグループには全盲の男性の奥様もいたし、女性のボランティアさんもいた。
ただ、男性の晴眼者はいなかった。
こういう時には電車ごっこ作戦だ。
中年の裸のオッサン達が少年の笑顔でならぶ。
先頭は弱視のよしのり君、
その後ろには全盲が3人続く。
あきら君、よしき君、そしてのぶや君。
左手に手ぬぐいを握りしめて、
右手で前の人の背中や肩に手をおくのだ。
そして出発進行、決して静かな列車ではない。
ワイワイガヤガヤ言いながら進んでいく。
一般のお客様から見れば、唖然とする光景だろうな。
本人達は何も気にしていない。
安全な室内の温泉では飽き足らず、
列車はとうとう、戸外の自然石でできている露天風呂まで進んだ。
足の裏で石を感じ、
身体でお湯を感じ、
顔で風を感じる。
「いい湯だなぁ。」
誰となくつぶやく。
温泉は、見えても見えなくても、やっぱりいいものです。
(2014年6月5日)