5月の風が感じられる頃になると、
視覚障害の友人から、
いかなごのくぎ煮が届く。
大阪で暮らしてきた彼女にとっては、
初夏を告げる風物詩なのだろう。
見えない僕と、ほとんど見えなくなっている彼女と、
共通点は視覚障害ということだ。
ただ不思議と、
目や病気の話はほとんどしない。
お互いに、苦しかった時も悲しかった時もあるのだが、
そこには触れない。
それぞれの人生を豊かにする話題が多くなる。
きっと、たどり着いた場所が同じということなのだろう。
彼女にとっての風物詩が、
いつのまにか、僕にとっての風物詩にもなった。
障害があるとかないとか無関係に、
いい出会いは、人生を豊かにしてくれる。
感謝しながら、
ついついご飯を御代りしてしまった。
いかなごのくぎ煮、真っ白な炊き立てご飯がよく似合う。
(2014年5月5日)