毎年のことだが、この季節は大人を対象にした講演が多い。
今月だけでも、
PTA、公務員のOB会、消防署、銀行と、
話を聞いていただくチャンスがあった。
大人向けの講演は、子供達を相手にするのと比べてこちらも若干緊張するのだけ
れど、
それなりの楽しさみたいなものもある。
子供達への取り組みは、未来への種蒔きだと思っているけれど、
大人は、現実的な社会の改善につながっていく。
銀行の職員研修、実際に話を聞いて頂いた後、
二人一組でアイマスクをしてもらって、
サポートの体験をしてもらった。
「こわいなぁ。」とか「こうすればいいんだね。」とかの声が聞こえてきた。
最後に挨拶をされた代表者の方が参加者に質問されたら、
8割が初めての体験とのことだった。
その数字を聞いただけで、
僕は来て良かったなと思った。
実際に、全盲の人が単独で銀行の窓口に行くことは、
ほとんどないのかもしれない。
でも、参加者の人達は一生懸命学ぼうとされているのが伝わってきた。
それはきっと、職場を越えて、
社会の中で、一人の人としての動きにつながっていくのだろう。
人間同士が助け合う豊かな社会につながっていく。
司会の女性が、休憩時間に近寄って来て、そっとつぶやかれた。
「これまで、2度、駅でお見かけしました。
タイミングがあわなかったけど、
いつか必ずサポートしますね。」
笑顔が素敵だった。
僕はうれしくて、つい握手を求めた。
そして、心から感謝した。
子供でも大人でも、やさしい人間っていいよなぁ。
(2014年2月9日)