外は初雪だと、
友人からのただそれだけの短いメール。
僕はベランダに出て、
空に向かって手を差し出した。
微かに、雪らしきものが触れた。
ただ、なんとなくうれしくなる。
そして、記憶の中の雪が舞い踊る。
ついさっきまで、
コタツから窓の方を見ても、
画像は何もなかった。
灰色っぽいものが広がっているだけだった。
光さえも通さない一色の世界だ。
日常は、そんなことさえ忘れて生活している。
見えないという事実があるのに、気にはしていない。
人間って、結構タフな生き物だ。
たった一通のメールが、
寒がりの僕をコタツから引きずり出して、
ベランダに向かわせた。
冷たい北風の中で、
心があたたかくなる。
雪を触りながら、うれしくなる。
そして、あの雪のやさしい白を思い出す。
伝えてくれる友人がいるということ、
幸せなことだと思う。
(2013年12月29日)