寒風の夜の街、
料理屋さんを出てホテルまでの道すがら、
彼は足を止めた。
そして、道端のお店のディスプレイにあった、
縄で編んだ直径20センチ、長さ1メートルくらいの筒を僕に触らせた。
「豊橋は、手筒花火が有名なんです。」
うれしそうに説明してくれる彼の言葉には、
たくさんの視覚障害者に接してきた専門家としてのぬくもりがあった。
ガイドヘルパーに関わる人達の資質向上研修のために、
僕達は愛知県豊橋市に集まった。
僕は当事者として、彼は専門家として。
そして、同じ未来を見つめて頑張ることを誓った。
見えなくなっても、
社会に関わりたいと願う僕達と、
それを応援してくれる専門家と、
車の両輪みたいに動く時、
きっと時代は前に進むのだろう。
今朝挨拶された先輩は、
昔は、点字ぶろっくも音響信号も、
ガイドヘルパー制度もなかったとおっしゃった。
その中で、先輩たちは生き抜いてきたのだ。
受け継いだバトンをしっかりと握り締めて、
ほんの少しでも、
前に進めたらと願う。
(2013年12月16日)